名古屋城天守閣の木造復元

 

2019年3月31日に、「名古屋城天守閣の木造復元2」という文章を書き、あらためて名古屋天守の木造復元についての私の考えを記しました。こちらの文章もご覧ください。

(2017年4月21日)
(2017年4月28日、末尾に文章を追加)
(2018年4月29日、名古屋城関係の新しい記事を公開)

 

現在、名古屋市が管理する名古屋城天守の木造復元が検討されており、この問題は今ちょうど選挙運動期間中の名古屋市長選挙の争点の一つともなっています。実は、私は以前から天守木造復元の計画を支持してきました。

私は名古屋の大学で教え、多くの留学生と接し、外国、私の場合は特にフランス語圏の研究者を名古屋に迎えることもしてきました。こうした外国の人たちには、エレベータ付きコンクリート製の天守の評判は最悪です。私は、外国からの客人を名古屋に迎え、案内をする場合、名古屋城天守は外観を楽しんでもらうだけにして、日本式城郭の紹介としては、近隣の犬山城に案内するか、さらに余裕があれば、松本城まで足を延ばします。犬山城もいいですが、特に松本城は大きさもあるため大変喜んでもらえます。

さまざまな理由で文化財が破壊されることは、残念ながらどこの国でもありうることです。しかし、それを再建する場合は可能な限り元の姿を復元することが、取るべき姿勢であり、また世界における標準になっていると私は理解しています。1945年の空襲による名古屋城天守(および本丸御殿)の焼失という事態を受け、1959年に天守の再建をコンクリート造りで行ったことは、やはり誤りであったと私は考えています。

名古屋城では、今回の天守再建計画に先行して本丸御殿復元プロジェクトがあり、現在本丸御殿の復元は進行中です。これは河村たかし現名古屋市長が市長に就任する以前に策定されたものです。名古屋には、河村氏以前より、名古屋城を蘇らせようという伝統があるといえます。今回、本丸御殿復元に加えて、河村たかし名古屋市長のリーダーシップで、天守木造復元も現実味を帯びてきていることは、大変喜ばしいことと思っています。

天守と本丸御殿がともに復元されれば、日本の文化財復元事業としても画期的なものになるはずです。できる限り正確に復元された名古屋天守と本丸御殿を皆が訪れることができるようになり、外国からの訪問者にも見てもらえるようになれば大変すばらしいことです。(地震などに備えて、本来はなかった耐震補強などの安全策を施すことは当然のことです。)

*          *          *

このように私は名古屋城の復元については以前から関心を持っており、このホームページでは扱ってきませんでしたが、2015年7月から個人のフェイスブックにおいてはわずかですが発言しています。「カバー写真」にも現在の名古屋城の写真を使ってきました。以下には、そこでの最新の発言を収録しておきます。
----------
2017年4月16日
名古屋市長選が4月9日に告示されました。投票は23日です。

候補者の岩城正光氏は、市議会の自民、民進、共産3党、社民党愛知県連合が支援しますが、名古屋城天守閣木造復元には後ろ向きです。
一つ前の投稿で紹介しましたが、3月末に自民、民進、公明、減税日本で木造復元のための基本設計費の予算案を可決したにもかかわらず、です。

同じく立候補している、天守木造化を推進しようとする河村たかし氏が「ゆっくりやると、全部やり直し」と言うのはそのとおりだと思います。
実際、岩城氏は、コンクリート製の現天守を耐震化し、木造化の必要性を再検討する考え、とのことで、実質的に木造復元の道を閉ざす立場といえます。
(以上、朝日新聞名古屋版4月10日夕刊より)
岩城氏に文化的・国際的な視点が欠落しているようなのは残念です。

以下、朝日新聞名古屋版4月16日朝刊に基づく追加です。
岩城氏いわく。「(木造化は)税金の無駄遣い。なぜ急ぐのか。50年先でも何十年先でも構わない」。
本来の城が復元されることで、名古屋の文化的価値が増し、ひいてはそれが観光、経済にもよい効果を生む、という視点が持てないのでしょうか。

河村氏が「今やらなければ木造化はできない。空前のチャンスを失う」というのは危機感をあおっているのかもしれませんが、強力なリーダーシップを持つ河村氏がいる今が、空前のチャンスとは言えるように感じます。
----------

(以下、2017年4月28日追加)
4月23日の名古屋市長選で、名古屋城天守木造化の推進を唱える河村たかし現市長が当選しました。木造化の進展を期待します。

以下、補足です。対立候補であった岩城氏はこうも主張していたようです。「いま慌てて進めると、東京五輪の時には(工事で)天守のない名古屋城になる」(朝日新聞名古屋版4月10日夕刊)。私はむしろ、木造復元を進めていることを外国の人にも知ってもらえ、日本の文化的成熟を示すことができていいと思います。

選挙の翌日の24日、大村秀章愛知県知事は次のように言ったようです。名古屋城天守木造化は「市民に身近なことじゃない。どちらでもいいというのが本音じゃないか」(朝日新聞名古屋版4月25日朝刊)。そういう認識であるなら、木造化の意味を県民・市民に説くべきではないでしょうか。大村氏自身も「どちらでもいい」程度の認識で、もし氏が責任ある立場なら天守の木造復元は推進しないと思われます。大村氏にも伝統文化の価値を理解してもらいたいものです。
----------

参考:
名古屋城関係の新しい記事を公開しました。
名古屋城天守閣復元の新局面(2018年4月29日)

 

 

カテゴリー: 随想・雑記, 名古屋・尾張 パーマリンク