‘18.4: 名古屋城天守閣復元の新局面

 

4月はこのサイトに特に変化はありません。

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(2018年4月29日)
(2018年5月10日、末尾に文章を追加)
(2018年6月27日、名古屋城関係のさらに新しい記事を公開)

 

以下の記事にあるように、名古屋城の現在の天守閣(1959年に鉄筋コンクリート製で再建)が、木造復元に向けて5月7日より入場禁止となります。次に天守閣に登れるのは、4年半後の2022年12月に竣工する予定の木造天守閣ということになります。入場禁止になっても、向こう1年ほどは外観は見られるとのことですが、工事が行われる数年間は外観を見ることもできなくなります。

いわゆる「昭和天守閣」の最後ということで、私も先日、久方ぶりに名古屋城を訪れてきました。

名古屋城の天守閣が5月6日で閉館。登るのは今がラストチャンス!
大竹敏之(名古屋ネタライター)
https://news.yahoo.co.jp/byline/otaketoshiyuki/20180406-00083511/

名古屋城は、太平洋戦争の空襲で1945(昭和20)年に、オリジナルの天守閣と本丸御殿を焼失しました。その本丸御殿は、10年がかりの復元工事が最終段階に入っており、現在すでに部分的に公開されていますが、この6月には工事が完了して、全面公開されることになっています。現在公開中の部分も、400年前の御殿の竣工時の姿をよみがえらせた大変すばらしいもので、全面公開されれば、日本における文化財の復元事例として画期的なものとなるでしょう。
(参考サイト: http://honmarugoten.jp/

一方の天守閣ですが、現在の昭和天守閣の外見はオリジナルとほぼ同じです。その天守は、日本の城郭で最大のスケールを誇ります。内部は、地下1階~7階までの8階。現在は中央に二機のエレベーターが配され、最上階の7階まで通じています。1階~5階は、エレベーターを取り巻く回りのスペースが、名古屋城ゆかりの美術品や武具などの展示室となっています。最上階の7階は展望室と売店です(6階は機械室で立ち入り不可)。天守閣全体が立派な「歴史ミュージアム」となっており、日本の他の城の天守閣と比較してのその巨大さに驚かされます。これが、木造で復元されたら、さぞすばらしいものになると思います。

展示スペースでは、かつて本丸御殿の備品であり、避難をしていて焼失を免れたオリジナルの障壁画などを見ることができ楽しめます。なお、復元される本丸御殿では、障壁画などは復元模写が展示されます。これによって、私たちは、御殿の竣工時の姿を全体として体感することができます。一方、障壁画は、オリジナルが現存します。天守閣の木造再建後も、オリジナルの障壁画の、400年を経た現在の姿も鑑賞できるようにぜひとも図ってもらいたいものです。

一方、木造化する天守閣にエレベーターを設置するかしないかの議論が起きています。以下の記事によれば、「河村たかし市長は会合後、『設置すると400年前の姿ではなくなる』と述べ、エレベーター以外の設備でバリアフリー化を進める考えを強調した」とのことです。私も可能な限りオリジナルに忠実に再建することに意味があると思い、「エレベーター以外の設備でバリアフリー化を進める」ことに賛成です。

名古屋城新天守「エレベーターなし」…市長判断
2018年04月25日 YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20180425-OYT1T50032.html?from=ytop_main1

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(追記、2018年5月10日)

https://digital.asahi.com/articles/ASL594HNCL59OIPE00K.html

この5月10日の朝日新聞の記事にはこうあります。
・名古屋市は部会で「史実に忠実に復元するためにエレベーターを設けない」とする方針を提示。設置すると史実との隔たりが生じると説明し、障害者が昇降できる技術提案を国内外から募る考えを示した。
・〔市関係者は〕「(1945年の空襲で)焼けた天守をそのままの形で復元するのが事業のコンセプト。それを守った上で、バリアフリーに最善の努力をするという結論に至った」と記者団に述べた。

↑私は、妥当な考え方であると思います。市関係者の努力に期待したいと思います。

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参考:
このHPでの、以前の名古屋城関係の記事はこちらです。
名古屋城天守閣の木造復元(2017年4月21日)

 

 

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